Here There And Everywhere
また俺はここにいる。
みずかのいるこの世界に。
また俺は戻ってきたんだ。
虚無のこの世界へ。
自分が子供に戻って行くのがわかる。
みずかと出会ったあのころの自分に。
ああ、虚無からの風を感じる。
あるはずのない、虚無から吹いてくる、あるはずのない風。
「また、戻ってきたんだね。」
「あ、みずか。」
「今度も、また、戻ってきたんだね。」
「どうしてそんなに哀しそうな顔をするの?」
「疲れたでしょう?膝枕してあげるよ。」
「うん」
みずかのひざは気持ちいい。
まるで、お母さんにひざまくらされてるみたいに。
「ねえ、みずか?」
「なに?」
「この世界は、どうしてなにもないの?」
「あなたが、何もないと思うから、何もないんだよ。」
「よく...わからない。」
「この世界は、無なんだよ。」
「うん。」
「でもね、無は全てでもあるんだよ。」
「それって、おかしくない?」
「でも、そうなんだよ。」
「そうなの?」
「だから、あなたが無だと思えば無だし、全てだと思えば全てなんだよ。」
「う〜ん。よくわからないや。」
「また、その内分かるようになるよ。」
「そうなの?」
「あなたが、この世界で猜疑心を育てていけば、分かるようになるよ。」
「そして、ぼくはまた、向こうの世界に行くの?」
「うん。そうだよ。」
「どうしてぼくは、向こうの世界に行くの?」
「本当は、ずっとこの世界にいなくちゃいけないんだけどね。」
「うん。」
「あなたに気付いて欲しいから。」
「なにを?」
「あなたが、最初にこの世界に来たときに、捨ててしまった物に。本当に大切な物に。」
「それは、なに?」
「それは、あなたが自分で気付かなきゃ。」
「そうだね。だからまた、ぼくはたびだつんだね。あの季節へ。」
「そうだよ。だから向こうにも私がいるんだよ。」
「じゃあ、僕が向こうの世界に行っちゃったら、ここにいるみずかはどうなるの?」
「この世界はあなたが望んだから存在するんだよ。」
「だから?」
「あなたがこの世界と私を望まなくなったら、この世界と一緒に消えちゃうんじゃないかな?」
「そんなのやだ。」
「でも、それが本来の姿なんだよ。」
「じゃあ、ぼくはここにいるよ。ず〜っとず〜っとえいえんに。」
「でも、それは本当にあなたのためになる事なのかな?」
「ぼくは」
「ここに」
「ず〜っと」
「ず〜っと」
「.......」
ど〜もど〜も「す」です。
今回はONE〜輝く季節へ〜初挑戦です。
ONEでの向こうの世界って何なんだろうと思って、私なりの解釈で作品にしてみました。
あくまでも私なりの解釈ですので、別の御意見をお持ちの方もいらっしゃるでしょうが。
それにしても、いつも以上に、ゲームをやってない方には、分からない話になってしまった。
では、また別の作品でお会いしましょう。