先輩、あなたは、どこに行ってしまったんですか?

私は、まだ、ここにいます。

先輩のことを想いながら。

Tears In Heaven

あれは...いつからだったでしょう?

私の目は、自分の意志に関係なく、先輩のことを追いかけていました。

忙しく、校舎の中を走り回る先輩。

女の子達と楽しそうに話をする先輩。

そして...他の女の子とデートの約束をする先輩。

評判通り、女の子と見ればすぐに声を掛ける先輩。

 

先輩...私のことなんか、覚えていないでしょうね。

引っ込み思案で、目立たなかった私のことなんか。

先輩とは、緊張のあまり、まともに話をすることもできませんでしたから。

 

でも....今、私以外の人は、みんな先輩のことを覚えていません。

あんなに目立っていた先輩なのに。

卯月学園の名物男だったのに。

先輩と仲の良かった、愛ちゃんや美雪ちゃんさえも。

 

卒業式が終わって、突然消えてしまった先輩。

そして、みんなが先輩のことを忘れてしまった。

先輩。同じように消えてしまったティナ先輩と一緒にいるんですか?

 

どうして、私だけが、あなたのことを忘れなかったんでしょうね?

もしかして...忘れてしまった方が、幸せだったのでしょうか。

先輩?

きっと、もう戻っては来ないんでしょうね。

だから、みんな先輩のことを、忘れているのでしょう?

 

先輩、私はここにいます。

 

あなたの思い出をつなぎながら。

 

 


 

後書き

ど〜もど〜も「す」です。

え〜、今回は、健太郎がティナと地球を去った後。

後に残された、健太郎のことが好きだった女の子の独白です。

最近「ONE〜輝く季節へ〜」にはまってまして、あのゲームのイメージを、下級生に持って行ってみよう。

と思って書いた作品です。

あのイメージと、下級生の世界、うまく解け合っていてくれるといいのですが。

ではでは、また別の作品でお会いしましょう。