
ラストシーン
教室。
HRの時間。
「それじゃあ文化祭の実行委員は放課後よろしくね。」
と、静香先生。
『我慢してきてあげたのに、どういう事なの。』
麗子は剛の席を見ながら思った。 文化祭の打ち合わせの事など関心無く。
「先生、剛は。」
男子生徒が質問する。
「山口君・・昨日びしょ濡れで寮に帰ってきてね、風邪ひいちゃったみたいなの。」
と、静香先生は答える。
『無礼な事ばかり言うからきっと天罰が下ったんだわ。』
再び剛の席を見ながら麗子は思った。
本当は天罰だなんて思っていない。
わたしがいけなかったんだ。
素直になれないわたしがいけなかったんだ。
早晩の寮。
「ごほん、ごほん・・・・・・もうダメだ。」
風邪でつらそうな剛。
トントン。ドアがノックされる。
「はい。」
ドアが開き定岡と料理の道具を押してコックらしき人物が入って来る。
「えっあの、ど、土足。」
「新藤家のお抱えコックが特製のおかゆを作ります。」
定岡の後ろではコックがにこやかにうなずいている。
「おかゆ、あ・・・麗子にいわれたのか?」
熱の為に頭の回転が遅くなっているのか、ちょっと間を開けて剛が言う。
「それは残念ながら私の口から申し上げられません。さあ。」
定岡は多くを語らず、食材を示しコックに指示する。
「うああああ。」
フライパンから炎があがる、驚く剛。
数多くの食材がコックの手際よい調理の手にかかる。
寮の窓の下。 リムジンの中に麗子の姿。
剛の部屋の明かりを見上げている。
リムジンの窓に身を寄せるようにして見つめつづけている。
剛は大丈夫なのだろうか、わたしも行けばよかったのだろうか・・・・
想いは巡る。
でも、麗子は行かない。
まだ新藤家の令嬢としてのポーズを崩せない自分だから・・・・・
素直になれない自分だから・・・・・・
でもね・・・・・・いつか・・・・・・・・・・
「うぐっ。」
「ふーっふーっ、麗子もけっこう可愛いとこ有るよなぁ。ふふん。 あちちちち。」
定岡達の帰った後、出来あがったおかゆを食べながらつぶやく剛。
夜の街を麗子を乗せたリムジンが走り去る。
剛の部屋に行かなかった麗子を乗せて。
夜空に星。
麗子の想い・・・・・・・・・・・・
剛への想いをのせたまま。
夜の街をリムジンが走り去る。
○後書き
「わがままな秋桜」いかがでしたでしょうか。
本来SS書きでは無いなりぽしがどうしても書きたくなった麗子お嬢様のお話です。
しかし「わがままな秋桜」を書いてみて自分の力の無さを痛感しました。
特にこの最後のシーン。
リムジンの中にいる麗子のせつなさ・・・・・・どうしても表現しきれませんでした。
ここの麗子の心情が書きたくてはじめたのですが。
いつも言っていますが、なりぽしぐらいの年齢(ひみつさ)になると麗子お嬢様のような
ミエミエの意地っ張りがとても可愛く想えるようになるようです。
これまでにもアニメやゲームでいろいろなキャラクターと出会ってきましたが、やはり
麗子お嬢様がなりぽしにとっては一番愛情を傾けられる人のようです。
TV版「下級生」の第8集として公開された「わがままな秋桜」。
ビデオを見るまでどんな内容になっているのか気が気でありませんでした。
今は安堵の中に居ます。
麗子お嬢様の個性がうまく描写されていると思います。
麗子お嬢様びいきの欲目で見ているとかいないとか関係無く・・・・
でもやっぱり御ひいきのお話だから感情が入るのでしょうね。
いいんです。 なんと言われようと。
なりぽしの麗子お嬢様に対する気持ちは高まりこそすれ、失われる事など無いのですから。
最後まで読んでくださったみなさんに感謝を込めて。 なりぽし
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