ロッターさんからまたもや麗子お嬢様SSを頂きました。
前回の「GIRL」とは違う麗子お嬢様をお楽しみ下さい。



「ごめん、麗子ちゃん」

クラスメートからの突然の拒絶。物心ついた時からの事だ。

いつもそう、父や母が裏から手を回し私に相応しくない友人と勝手に決めそして彼等の親

にそれを命じる。

新藤家の力を使えばそれはたやすく行え、子供の力ではどうする事も出来ない。 



いつからだろう私は何時の間にかもうひとつの私を演じ始めた。

親しくなってから拒絶されるくらいなら最初から拒絶してもらおう。

そうすれば傷つかなくてすむからだ。

でももう一人の私は何時の間にかにどんどん大きくなり、やがてどれがほんとの自分か分

らなくなりつつあった。

その傾向は高校に入ってからますます激しくなった。

まるでブレーキのない車に乗ってる気分。

他人を拒絶しそれでいて他人に救いを求める。

この暴走を止めてと、でもそれはかなわない。

なぜなら止めようとしてくれるものをもう一人の私はひたすら拒絶し続けているからだ。



高校生活最後の年、でも何も変わらないと思ってた。

でもあなたが私を少しずつ変えてくれた。



私の言葉に無視でも拒絶でもなく反論して注意を促す。

そんな人がいるとは思ってもみなかった。


でも私はそれに答える術を持ってはいなかった。



他のクラスの女性に絡まれていたのを助けてくれたあの人。

お礼の言葉も分らずついいつも道りに相手を侮蔑する事でしか対応できない私にまた厳し

く注意を促してくれる。

あなたは知らないでしょう、あなたの言葉でどれだけ私の中のあなたが日に日に大きくなっ

ていく事を。


何度も私の家に来てくれるあなた。

どんな言葉にも反応してくれる事が私がどれほど私の心を揺さぶるかなんて。


でも私はそんなあなたに憎まれ口しか言う事が出来ない。


彼は誇り高くそれでいて子供のような人だった。

「新藤家」の名を恐れず私に接するくせに妙なとこで可愛い。

あなたをもっと知りたい。

その思いが私を「新藤家」から解き放ちあなたとのデートを受け入れた。

生まれて初めてのデート緊張を隠すため、ひたすら憎まれ口を言い続けた。

自宅に帰ってからの自己嫌悪。

何故あんな態度をとったのか、何故あんな言葉を言ってしまったのか。

でも時間は戻せない、いや戻せたとしてもきっとまた繰り返しだ。

もうデートに誘ってもらえないかもしれない。

それどころかもう言葉をかけてもらえない。

その恐怖でその夜はほとんど眠る事など出来なかった。



一晩考えてたどり着いた答は私から彼を誘ってみようというものだった。


そしてその時拒絶されたらもう彼のことは忘れよう、そう決めて彼に声をかけようとした私

に彼が先に声をかけてくれた。

「おう、麗子か、明日暇か?」

その言葉に大きく反応してしまう私。

「明日野球でも見に行かないか?」 

涙が出そうになった。

彼は私を見捨ててはいなかった。

それを隠す為また憎まれ口をたたいてしまう私。

「せいぜい私を楽しませてくれる事を期待するわ」

彼の優しさに甘え続ける私。

いつ彼に見限られるか恐れる私。

そんな私をきっとだれも知らない。





      Watch me, Watch me 瞳は求めてる

      Speak to me, to me それなのに

      Leave me,Leave me 寄せ付けない態度

      Don't be close to me ひとりきり

      昔誰かが君を悲しませた もう何も犠牲にしたくないと

      心の扉に 鍵をかけてしまったのさ 




ロッターさんの後書き


        と言う訳で麗子SS。個人的に麗子は本当は弱いんじゃないかな〜と思い

       こんなSSになりました(笑。

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